ネットショップで売上が安定してきたら。メリット・デメリットを知って個人事業主になろう!

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ネットショップでハンドメイド作品の販売をしていると、最初は全然売れなかったとしても、頑張って継続していくうちに、毎月ある程度の売上があがるようになります。

もしもあなたが、さらに売上を増やしていって、いつかはそのネットショップの売上で生活していきたいと考えているならば、個人事業を開業しておくのがおススメです。

私もハンドメイドマーケットで販売を始めて2年間頑張って、ようやく売上が毎月5万円くらいに安定して来ました。
だから、生活するにはまだ足りませんが、もっと販売を拡大していくために個人事業を開業することにしたんです。

個人事業主になるって聞くと、急にビジネスっぽくなるし、税金の手続きも面倒臭そうですよね?
でも個人事業は、会社を設立するのと比べて簡単に開業できるし、開業していないときと比べてたくさんのメリットがあるんです。

ミケ

開業する前に、どんなメリットやデメリットがあるか、いろいろ調べみたにゃ。

そこでこの記事では、ネットショップを運営している方が個人事業を開業するメリット・デメリットを解説したいと思います。

ハンドメイドマーケットやイベント出店の売上が増えてきて、本格的に稼ぎたいと考えている作家さんに役立つ情報だと思いますので、ぜひ参考にしてくださいね。

個人事業を開業するとは?

個人事業とは?

そもそも個人事業主とは、個人で「事業」をして稼いでいる人のことを言います。

事業とは、反復・継続・独立して稼ぐこと。
つまり私のようなハンドメイド作家だったら、誰かに給料をもらうわけではなく(独立)

  1. 材料を仕入れる
  2. 作品を製作する
  3. 作品を販売する

という3つの作業を、何度も繰り返し(反復)ながら、ネットショップで少しずつ売上を増やして(継続)いけるよう頑張っているので、これは「事業」です。

そのような事業を、会社のような組織ではなく、ネットショップも含め、個人でお店を経営している人が「個人事業主」となるわけですね。

MEMO
家にあるものを販売する「オークション」などは、売るものが無くなったら継続できないので、「事業」ではありません。

開業の方法とタイミング

実は、個人事業を開業するのは、特にお金もかからないし手続きも簡単。開業届など幾つかの書類を記入して最寄りの税務署に届けるだけです。

ミケ

あまりにもあっけないので拍子抜けしてしまうほどだにゃ。

それよりも大切なのは、開業するタイミングです。

本来、副業であったとしても、個人で事業をする場合は、事業開始から一ヵ月以内に開業届を提出することが義務付けられています。
だから言葉通りの意味で捉えると、私のようなハンドメイド作家がネットショップで作品を販売するなら、本当は販売を開始したらすぐに開業届を提出しないといけないんです。

でも、開業していなかったからと言って罰則があるわけではないので、少し待った方が得策です。

事業を始めたばかりの人は、売上が上がらずに継続できないかも知れないし、副業で事業を始めた人は本業が忙しくて開店休業状態になってしまうこともあるからです。

最低限の安定した売上が出せるなど、今後の見通しが立って本格的に取り組んでいくことを決めたときが「事業を始めた」タイミングであると捉え、その後に開業届を提出した方が安心ですね。

個人事業のメリット

では具体的に、開業届を提出して個人事業主になるとどのようなメリットがあるのでしょう?

税金が節約できる

開業届を提出して個人事業主になると、確定申告のときに青色申告ができるようになります。
そうすると所得税の支払額に対して以下の優遇措置をうけることが出来てお得です。

  • 青色申告特別控除を受けられる
  • 赤字を3年めまで繰り越せる
  • 家族の給料を経費にできる
青色申告をした時のメリットを詳しく説明するよ。

トラ

青色申告特別控除を受けられる

個人事業主は、青色申告で自分の所得についてきちんとした帳簿を作って申告すると、「特別控除」を受けることができます。

「きちんとした帳簿」とは「簿記」の書式に基づいてお金のやりとりがまとめられたもののこと。その書式で申告すれば、事業所得から簡易簿記の場合は10万円、複式簿記の場合は65万円の特別控除が受けられます

MEMO
『事業所得』とは、事業をして稼いだ売上から経費を差し引いた金額のことを言います。一言でいうと事業で『儲かった金額』のこと。
経費とは、材料や商品の仕入れ、旅費交通費、アルバイトやパートさんの給料など、事業をするために必要な出費です。但し、個人事業主は自分への給料は経費になりません。

複式簿記を使って帳簿をつくるのは大変ですが、最近は優れた会計ソフトが普及しているし、商工会議所などで相談窓口もあったりするので、特別控除が受けられることを考えれば挑戦する価値があります。

ちなみに個人事業を開業していないと特別控除を受けることはできませんので、65万円以上の事業所得を稼ぐことが開業するタイミングの目標にするのも良いですね。

ミケ

私も自分で帳簿をつくって青色申告しているんだにゃ。

赤字を3年めまで繰り越せる

個人で事業を実施したとき、最初の数年は赤字になってしまうこともあります。
個人事業主が青色申告する場合、「純損失の繰越し控除」という赤字になった年から3年の間に儲けが出れば、黒字になった年から前の2年間に出た赤字分を差し引くことができます

例えば、昨年は100万円の赤字でしたが、今年は200万円の黒字となった場合、昨年の赤字分を当期に繰り越すことができます。
だから、所得税が課税されるのは200万円-100万円で100万円分だけになるんです。

家族の給料を経費にできる

個人事業主の場合、夫婦や家族で一緒に事業をすることが多いはず。
そのような生計を共にしている家族も一緒に事業をしている場合、青色申告なら「青色事業専従者」として届け出ることで家族の給与を全額経費にすることができます

もしも白色申告だった場合は、配偶者で86万円、親族なら50万円までしか控除できないので、家族への給料が増えるほど青色申告した方がお得です。

ちなみに個人事業主でない場合は、家族に事業を手伝ってもらってもその給与は経費として認められません。

信用が上がる

個人事業主になると信用が増すので、個人では難しい取引もできるようになります。
パッと事例をあげるとこんな感じです。

  • 屋号(ショップ名)名義で通帳がつくれる
  • 卸売業者から仕入れができる
  • モバイル決済が導入できる

これらは、必ずしも個人事業主として開業していないと取引できないわけではないものもあります。
でも、開業していることで簡単に取引できたり、手続きがスムーズになったりするので、そのメリットは大きいと感じられるはずです。

個人を証明するときに運転免許証や健康保険証のコピーを求められるように、初めて取引する業者から開業届のコピーを求められることが多いよ。

トラ

屋号(ショップ名)名義で通帳がつくれる

個人事業を開業していると、銀行などの金融機関で通帳をつくるとき、『屋号』の名義で口座が開設できます。

MEMO
『屋号』は、ショップ名やブランド名など事業自体の名前を示すもの。開業届を提出する時にも記入します。

『屋号』の名義で通帳をつくると、口座に振り込む相手も個人ではなく事業主と分かるので、信用もアップするしスムーズに取引ができます。
また、お店と自分の口座を分けることで、事業の状態を把握しやすくなるというメリットもありますね。

卸売業者から仕入れができる

個人事業主なら、開業届や『屋号』名義の通帳があれば、卸売業者からの仕入れ取引ができるようになります

卸売業者から、商品を製作するために必要な材料や商品そのものを仕入れれば、個人がお店で購入するよりもずっと安く手に入れることができます。

但し、卸売業者の販売数量は、お店で販売することが前提になるので、まとめ売りが基本。
自分が販売できる商品と数量をよく検討して、在庫が増えすぎないよう仕入れることに注意が必要です。

モバイル決済が導入できる

国の政策でもキャッシュレス化が推進されていますので、今後はちょっとしたものでもクレジットカードや電子マネーを使って購入するお客様が増えてくると予想されます。
そうすると、イベントなどで対人販売をする場合は、手軽にクレジットカードや電子マネーで決済できるモバイル決済の導入は欠かせません

モバイル決済サービスについてはこちらのカテゴリーを読んでくださいね。

参考 「モバイル決済の基礎知識」の記事一覧モバイル決済導入記

モバイル決済は、個人事業を開業していなくても導入できるサービスもありますが、個人事業主として開業している事業者向けのサービスと考えるのが基本。
だから、自分に合ったモバイル決済サービスを選びたいときは、個人事業を開業していた方が選択の幅が広がります。

また、Square(スクエア)のクレジットカード決済サービスは、個人事業を開業していなくても登録時の審査は通ることも多いのですが、運用中に開業届のコピーを求められたりすることもあるので、やはり開業、又は開業を予定しておいた方が間違いないでしょう。

ミケ

モバイル決済の導入は、私が個人事業を開業した主な理由のひとつなんだにゃ。

個人事業のデメリット

逆に個人事業を開業することによるデメリットも幾つかありますのでご紹介しておきますね。
副業で事業を続けたい場合や、趣味の延長上で事業を実施する場合などは、デメリットも考慮して開業するかどうかを決めた方が良いですね。

失業保険を受けられない可能性がある

副業で事業に取り組んでいて個人事業を開業している場合、本業を退職したときに失業保険を受けられない場合があります

副業が儲かっていなかったとしても「個人事業の所得があるので生活に困らない」とか「再就職する必要がない」と判断されてしまうからです。

基本的には失業保険はもらえないと考えた方が良いんじゃないかな。

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本業として働いている会社にばれることがある

もしもあなたが、サラリーマンとして本業で働いている会社があって副業で事業をしている場合、自治体にもよるようですが、副業をしていることが会社にばれてしまう事があります。
副業が禁止されている会社に勤めている場合は注意した方が良いでしょう。

まとめ:個人事業主になろう

この記事では、すでにネットショップを運営していて、本格的に売上を増やしたい方に向けて、個人事業を開業するメリット・デメリットを解説してきました。

個人事業主とは、個人で「事業」をして稼いでいる人のこと。
会社のような組織ではなく、ネットショップも含め、個人でお店を経営している人が「個人事業主」になります。

個人事業主は、本来ネットショップなどの販売事業を始めたら、すぐに開業届を提出しなければいけません。
でも、ハンドメイド作家さんなど副業で始めた方は、売上が少しずつ安定して個人事業主としてのメリットが出るようになってから提出した方が安心です。

個人事業を開業すれば青色申告できるので、以下のようなメリットが受けられます。

  • 青色申告で事業所得から簡易簿記の場合は10万円、複式簿記の場合は65万円の特別控除が受けられる。
  • 赤字になった年から3年の間に儲けが出れば、黒字になった年から前の2年間に出た赤字分を差し引くことができる
  • 生計を共にする家族も事業をしている場合、その給与を全額経費にすることができる

また、個人事業主になると信用が上がった分、以下のようなメリットもあります。

  • 屋号(ショップ名など)で銀行口座をつくれる
  • 卸売業者から材料や商品を仕入れることができる
  • クレジットカードや電子マネーが使えるモバイル決済を導入できる

一方で、個人事業を開業すると、失業保険を受けられない可能性があったり、副業をしていることが本業の会社にばれてしまう場合があるなどのデメリットもあるので、注意が必要です。

私の場合は、失業してからお金を稼ぐためにハンドメイド作家になったので、デメリットを考慮する必要はなく、売上が伸びて安定したタイミングで個人事業を開業しました。

まだ、売上がそれほど多くないので青色申告のメリットを十分に実感できるほどではありません。
でも、信用が上がることによって可能になった『仕入れ取引』や『モバイル決済』によって、開業前と比べて売上や利益が着実に増えてきています

あなたも、ネットショップで本格的に稼いでいきたいと考えているなら、個人事業主として開業してみてはいかがでしょうか?

ミケ

お小遣い稼ぎがビジネスに変わる第一歩が踏み出せるはずだにゃ。