ハンドメイドマーケットで作品を販売していると陥ってしまいがちな悪循環があります。
作品の売れ行きが悪いと「もっと売れるような新作を発表しなきゃ!」と新しい作品の製作を始めてしまう。
その新作もヒットしなければ、また新しい新作に・・・と無計画に次々と新作を作り続けてしまっている状況のことです。
あなたはそんな悪循環に陥ってしまっていませんか?
実は、私がハンドメイド作家になって1年くらい経ったときは、まさにそんな感じでした。
ミケ
そこで私は、ハンドメイド作家としての活動を、根本から見直すことにしたのです。
まず最初に取り掛かったのは、販売する『作品』そのものの見直し。
その後、この見直しが効果を発揮して、ようやく売上が伸びはじめます。
今思えば、作品の見直しをしていなければ、現在も私がハンドメイド作家でいることは出来なかったんじゃないかなと思います。
そこでこの記事では、私が自分の作品を見直すときに考慮した3つのポイントと、具体的に私が実践した見直し内容についてお話しします。
もしもあなたが、新作を発表するたびに赤字が膨れ上がっていく悪循環に陥っているなら、私と同じような状況なのかも知れません。
思い切って作品を見直してみたら、売上が伸びていくかもしれないですよ。
目次
作品の売れ行きが悪いと陥りがちな悪循環
私がハンドメイドマーケットで作品の販売を始めてから1年くらい経ったころのことです。
ネットショップやイベントで赤字になってしまった失敗を取り返すため、やっきになっていました。
その時の失敗談はこちらです。
『ハンドメイドは儲からない?』アルバイトよりもはるかに時給が低くなってしまった理由 イベント出店にはお金も時間もかかります。初出店で失敗しないためのポイントは?でも、どうしたら『もっと売れる』『もっと儲かる』作品がつくれるのか分からず、迷走していました。
そんな私が、失敗を繰り返す度にやっていたことは『新作を考える』こと。
ジャンルを問わず良さそうな作品を思い付くと、次々にその新作を製作し、販売していったのです。
新作を出すためには、アイディアを練ったり作り方を考えたりする時間が必要になります。
また、それを製作するには、新たな材料や道具も必要になるので出費もかさみます。
でも、その作品が数個しか売れないと、新作を販売するために使った時間やお金は戻って来ないので、やっぱり赤字になってしまいます。
私はまた、その赤字を取り返すために新作を作るという繰り返しをして、どんどん赤字が膨れ上がっていったのです。・・・まさに『悪循環』ですね。
新作を考えたり作ったりしていると、頭の中は常にイッパイイッパイになっているので、なかなか悪循環に陥っていることに気付きません。
私がそれに気付いたのも、あらゆる新作を出し尽くしてネタが無くなってしまったときでした。
ミケ
トラ
作品づくりの3つのポイント
新作のネタも尽きて途方に暮れた私は、トラに作品を考えるときのポイントをアドバイスしてもらうことにしました。
教えてもらったポイントは3つ。
- 作品のカテゴリーとジャンルを絞り込み集中する
- お客様が買いやすくなる作品をつくる
- 新作を作るほど儲かる仕組みをつくる
この順番に従ってポイントを意識して作品を製作すると、自然と悪循環から脱出できる仕組みになっていきます。
トラ
作品のカテゴリーやジャンルを絞り込み集中する
お客様が『買いたい!』と思う作品の好みはさまざまです。
だから、さまざまなカテゴリーやジャンルの作品を作れば、さまざまなお客様の好みに合う作品が増えるので売上も増えるような気がします。
でも、作品のカテゴリーやジャンルを広げることは、ハンドメイド作家にとっては逆効果。
個人でひとつひとつ製作する場合は、カテゴリーやジャンルをできるだけ絞り込んだ方が良いのです。
ここでカテゴリーとは、「アクセサリー」とか「インテリア雑貨」など作品の分類のこと、ジャンルとは「カワイイ」とか「カッコいい」など作品のイメージや特徴のことだと思ってください。
分かりやすく『ネコモチーフのグッズ』という具体例で、その絞り込み方を考えてみましょう。
その中からカテゴリーに『マグカップ』、ジャンルに『オシャレ』を選んだとします。
そうすると『オシャレなネコがプリントされたマグカップ』という作品になり、ただのネコモチーフではなく絞り込まれて集中した作品になるのです。
お客様がショップをみたときに『どんな作品を製作しているショップなのか』分かりやすくなると、作品に興味のあるお客様だけが集まって来るようになります。
ただのネコモチーフのショップはたくさんありますが、『オシャレなネコのマグカップ』だけに特化したショップはあまりありませんよね。
ショップをパッとみたときに、『オシャレなネコのマグカップ』がズラッと並んでいれば、お客様もすぐに何の店か分かり、ネコ好きでマグカップが欲しい人はその中から選びたいと考えてくれるのです。
誰でも知っていて度々購入することがある一般的な製品でカテゴリーやジャンルを絞り込めば、十分なお客様を確保できるでしょう。
お客様が買いやすくなる作品をつくる
カテゴリーとジャンルを絞り込むと、作品の新作がとても作りやすくなります。
それは、使い方や好みに合わせたバリエーションが用意できるということなので、お客様にとっても買いやすくなるんです。
『オシャレなネコがプリントされたマグカップ』で具体例を考えてみましょう。
まず、思い浮かぶのはイラストのバリエーションを増やしていく事ですよね。パッと考えるだけでもかなりの数の作品を増やせそうです。
- ネコの動作や仕草などの種類を増やす
- オスネコ、メスネコ、子猫などキャラクターの種類を増やす
- クリスマスやハロウィンなどの季節限定品を作る
- 2つのカップを合わせるとひとつのイラストになるセットを作る
- 名入れなど、お客様だけのイラストを作る
また、使い勝手や利用シーンを想定してカップ自体に変化を加えることもできます。
- カップの色や柄の種類を増やす
- カップのサイズを増やす
- カップの形状の種類を増やす
これらの変化を上手に組み合わせて新作を増やしていけば、品揃えが充実した『オシャレなネコのマグカップ』屋さんになるはずです。
お客様も、自分の使い方や好みにあったマグカップを選べるので買いやすいですよね。
トラ
新作を作るほど儲かる仕組みをつくる
そして、作品の一部だけが異なるように作品のバリエーションを増やしていくと、売上が増やしながら作品の製作コストが下げられるので儲かります。
製作コストが下げられる仕組みは、大きく分けて二つあります。
- 同じ材料やパーツをたくさん仕入れるので安くなる
- 作品の製作に熟練して、作業時間が短くなる
作品のバリエーションを増やして一部分だけを変えるだけなら、同じ材料を使って同じ作業を繰り返すことが多くなります。
一般的に資材やパーツは、たくさん仕入れるほど安くなることが多いので、同じ材料を使ったバリエーションを増やすことで売上が増えれば、材料費が安くなります。
また、人は同じ作業を繰り返すと、早く作ることができるようになるし、上手に作れるようになるので修正作業も減るので、人件費が安くなります。
『オシャレなネコのマグカップ』で具体例を考えた場合はどうでしょう?
- パーツとなるマグカップの種類を絞り込み、それだけを大量に仕入れれば材料費が安くなります。
- イラストのバリエーションに関わらず、プリント作業が同じに出来れば、すぐに上手に作れるようになって人件費が安くなります。
- プリント作業が簡単であれば、人件費が安いアルバイトを雇うとさらにお得です。
トラ
私が実践した作品の見直し内容
『作品を作るときの3つのポイント』を教えてもらったとき、私の作品のラインナップは、ほとんどポイントと逆のことをやっていた状態だったので、かなりショックでした…orz
でも、『ポイントどおりにやらないと失敗するということを体験で学べた』とポジティブにとらえることにして見直すことにしたんです(笑)
自分が一番好きな作品をひとつだけ選ぶ
当時私は、『売れやすい』『儲かりやすい』作品を求めて、インテリア雑貨,文房具,アクセサリーなど、様々なカテゴリーの作品を出品していました。
でも作品のジャンルとなるイメージや特徴は、ある程度そろっています。
そこで、『どのカテゴリーの作品を選択して集中するか?』をトラと一緒に見直すことに。
ミケ
トラ
そこで私は、販売を始めた初期の頃から販売している、オーダーメイドで受注するアンティーク調の文房具を選択することにしました。
この作品が今まで作った作品の中でも、一番好きだったし、もっと作りたいという想いがあったからです。
オーダーメイドではなく既製品をつくる
この文房具のカテゴリーで販売していた作品は、お客様の好みのデザインをイラストからやり取りしてオーダーメイドで製作する作品。
- 製作している作家さんはほとんどいない
- つくるための技術を学ぶ作家さんも少ない
- 製作するためには比較的高額な設備が必要
- カテゴリー自体が日本ではあまり知られていない
- 非常に高額な価格で販売している
のような特徴がありました。
「ライバルとなる作家さんが少ない」というメリットはありますが、「作品を知っているお客様が少ない」というデメリットもあります。
その上、価格は高くてめったに売れません。
売れたとしても、お客様とデザイン案を決めるやりとりをしたり、製作作業に手間が多いので利益もあまりでません。
販売を続けるには、圧倒的にメリットよりもデメリットの方が多い作品です。
トラ
ミケ
オーダーメイドは、世界でたった一つの自分だけのアイテムになることが魅力ですが、お客様も自分でデザインを考えたり、それを作家さんに伝えなければならないので大変です。
その分、価格も高くなるし、作品が仕上がるまでに時間もかかるので、手軽には買えないですよね。
そこで、あらかじめ私の考えた『オリジナルデザイン』の既製品を製作することにしたのです。
既製品であれば、明確なデザインのイメージを持っていないお客様も、自分の好きなデザインを選ぶだけで手軽に購入できます。
また、『オリジナルデザイン』のバリエーションを増やしていけば、お客様が選べるデザインの選択肢が広がって、好みに合うものを見つけやすくなるはずです。
新作も旧作と共通の部品や材料を使う
『オリジナルデザイン』の既製品を販売することは、作品の製作コストも大幅に減らすことにも繋がります。
私はまず作品のサイズを固定して、全てを自分で製作するのではなく、作品の一部分に市販品のパーツを取り付けられる構造に変更しました。
市販品のパーツは高価ですが、製作作業を省くことができるので時間をかけずに作品を仕上げることができます。
また、自分で作るパーツも、デザインが関係しない部分は全て同じパーツを使うことにしました。
そうすると、新作を発表しても材料の種類は増えないし、ほとんどのパーツは旧作と同じ慣れた作業を繰り返すだけで作れるので、始めから早く上手に作ることができます。
最終的には、オリジナルデザインの作品は、オーダーメイドに対して1/4の価格まで下げることができました。もちろん、人件費や利益も含めた販売価格なんですよ。
ミケ
まとめ:作品の見直した効果は?
この記事では、新作を作るたびに赤字が膨れ上がる『悪循環』から脱出するために必要な『作品をつくるときの3つのポイント』と、私が実践した『作品の見直し内容』をご紹介してきました。
作品を作るときの3つのポイントはこちら。
- 作品のカテゴリーとジャンルを絞り込み集中する
- お客様が作品を買いやすくなる作品をつくる
- 新作を製作するほど儲かる仕組みをつくる
このポイントが満足するように作品をつくれば、お客様は「何を販売しているネットショップか」が分かりやすくなるだけでなく、売上も伸びるし、利益も確保することもできるようになります。
私もこのポイントに従って作品の見直しを実践。
- 作品を自分の一番好きな文房具に絞る
- 販売方法をオーダーメイドから既製品の販売に変える
- 使用するパーツや製作作業をできるだけ共通にする
この見直しによって、お客様も買いやすくなったし、作品の製作コストは、なんと80%も激減させることができました。
私にとって何よりも良かったのは、新作ネタが尽きることはなくなったし、新作の製作にも苦労が無くなったことです。
その作品の見直しから1年半。
私は少しずつ新作のオリジナルデザインを増やしていき、現在も継続中です。
新作デザインを増やすたびに着実に売上も伸ばし、オリジナルデザインは期間限定品も合わせると約20種類になりました。
今後とも少しずつ新作を増やしていく予定です。
でも実は、作品を見直しただけでなく、もうひとつ売上を伸ばすためのプロモーションも見直しています。
私の作品の弱点である、カテゴリー自体が日本ではあまり知られていないことを克服するための手段なのですが、そのお話しはまた次回にしたいと思います。
ミケ