ネットショップを開設するとき、『特定商取引法に基づく表記』というフレーズを必ず目にしますよね。
それは、ネットショップで商品を販売する事業者は、購入する消費者が不利益にならないように情報を公開する義務が『特定商取引法』で定められているからなんです。
私みたいに個人で店舗を持たずに販売している場合、公開する情報には個人情報も含まれたりするのでためらってしまいますよね。
でも、深く考えずに公開しないでいると、特定商取引法違反で行政処分の対象となってしまいます。
ミケ
そこでこの記事では、ネットショップの運用に必要な部分に限って『特定商取引法』の知識を解説するとともに、私のように店舗を持たずに自宅でネットショップを運用したい人の対応方法をご紹介したいと思います。
もしもあなたが、店舗を持たずにネットショップを運用しているのなら、この記事の情報を活用してくださいね。
目次
『特定商取引法に基づく表記』とは?
特定商取引法とは?
そもそも『特定商取引法』とは、訪問販売や通信販売するときにトラブルが起きないよう、事業者が販売するときに守るべきルールと、消費者が損をしないための仕組みを定めた法律です。
特にインターネットショップは、消費者が購入するときに実際の商品を見ることができないので、トラブルが発生しやすい通信販売のひとつとされています。
商品を購入して届いたら「写真で見たのと全然違う」とか、ありがちなトラブルのひとつですよね。
ヒドイ場合は「商品が送られてこない」だけでなく、改めて検索したら、そのショップが無くなっていたなんてこともあります。
ミケ
そんなトラブルを防ぐために、法人・個人を問わず、ネットショップを運用するのなら『特定商取引法』に定められたルールに従わなければいけません。
違反すると行政処分や罰則の対象となってしまうのでしっかり注意しておきましょう。
でも逆に、そのルールに基づいたネットショップであれば、お客様の安心・信頼を得ることができて販売しやすくなるとも言えますよね。
詳しくは、消費者庁のこちらのページで説明されていますので興味があったらみてください。
参考 通信販売特定商取引法ガイドネットショップの義務
具体的にネットショップを運用する事業者がやらなければならない義務は、以下のように定められています。
- 広告の表示(第11条)
事業者の氏名(名称)、住所、電話番号などを表示しなければなりません。- 誇大広告などの禁止(第12条)
- 未承諾者に対する電子メール広告の提供の禁止(法第12条の3、12条の4)
- 前払い式通信販売の承諾などの通知
- 契約解除に伴う債務不履行の禁止
- 顧客の意に反して申込みをさせようとする行為の禁止
ここで、店舗を持たない個人がネットショップを開設して運用を始めるときに、直接的に関わってくるのが『広告の表示』になります。
これこそが、『特定商取引に基づく表記』としてネットショップで公開する情報なんです。
それ以外の項目は、良心的に商品の売買をしたいと考えている事業者にとっては、あまり関係が無さそうですよね。
特定商取引に基づく表記のルール
『特定商取引に基づく表記』では、公開しなければならない項目とその内容の情報が明確に定義されています。
その項目を一覧にしたのがこちらです。
- 販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)
- 代金(対価)の支払い時期、方法
- 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
- 商品若しくは特定権利の売買契約の申込みの撤回又は売買契約の解除に関する事項(その特約がある場合はその内容)
- 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
- 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該販売業者等代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名
- 申込みの有効期限があるときには、その期限
- 販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容およびその額
- 商品に隠れた瑕疵がある場合に、販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
- いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境
- 商品の売買契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び販売条件
- 商品の販売数量の制限等、特別な販売条件(役務提供条件)があるときには、その内容
- 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額
- 電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス
「特定商取引法ガイド/通信販売」より引用
項目がたくさんあるので、これを守りながらネットショップを作成するのは、大変なことのように思えます。
でも、BASEやSTORES.jpのように簡単に個人のネットショップを作成できるプラットフォームや、minneやCreemaなどのようなハンドメイドマーケットなどでは、これらの情報をフォーム形式で入力できるようになっていて、悩むことなくネットショップを作成できるので問題ありません。
それよりも、店舗を持たない個人がネットショップを開設するときに抵抗を感じるのは、項目5の「事業者の氏名(名称)、住所、電話番号」を公開しなければならないことではないでしょうか。
特に店舗を持たない事業者が自宅の住所を公開するとなると、自分自身や家族の安心・安全を妨げる原因にもなりかねないので心配です。
そのためか、『特定商取引に基づく表記』で住所を記入していない事業者をよくみかけます。
でもそれは違反行為であり、お客様の安心・信頼を妨げるものでもあるので、何か対応策を取りたいですよね。
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自宅の住所を公開しないためには?
住所表記の条件
では、住所は「どこの住所」を「どの範囲」まで表記しなければならないのでしょうか?
特定商取引法ガイドには、以下のように記されています。
「住所」については、個人事業者、法人いずれにおいても、現に活動している住所(法人の場合には、通常、登記簿上の住所と同じと考えられる)を正確に記載する必要があります。
- 住所の番地が省略されているような不正確な表示も認められません。住所の番地を一部省略するような記載をせず、正確に記載することが必要です。
- 現に活動していない私書箱等の住所のみを表示することも認められません。
「特定商取引法ガイド/通信販売広告について」より引用
つまり、実際に事業活動している場所の住所を、省略せずに番地まで表記しなければなりません。
活動している場所ではないので、私書箱もNGです。
これって、事業用に店舗やオフィスも持っていなければ、自宅の住所を全部記載しなければならないということですよね。
でも、最近は個人でも簡単にネットショップが開設できるようになったことを考慮してか、平成28年の改正で以下の記述が追加されました。
いわゆるレンタルオフィスやバーチャルオフィスであっても、現に活動している住所といえる限り、法の要請を満たすと考えられる。
ちゃんと活動していれば、レンタルオフィスやバーチャルオフィスの住所でも良いということですね。
ミケ
バーチャルオフィスとは?
実は私も、自宅の近所にあるバーチャルオフィスを利用していて、対外的には、全てその住所を拠点として活動しています。
実際にオフィスを借してくれるのではなく、ビジネスに必要な仮の「住所」を貸してくれたり、「電話応対」や「荷物の受取り」の代行をしてくれるサービスのこと。
実際のオフィスを借りるレンタルオフィスと比べて、必要最小限のオフィス機能を安価に提供してもらえるので、個人でオフィスを持つ必要の無いビジネス活動をする方にとても便利です。
バーチャルオフィスの住所は、特定商取引法に基づく表記だけでなく、個人事業の開業届や事業用の銀行口座開設、仕入れ取引の事業拠点など、様々なビジネスシーンで活用できるのでおススメのサービスです。
ミケ
おススメのバーチャルオフィスサービスは?
バーチャルオフィスは、レンタルオフィスのサービスを提供している事業者が提供してることが多いので、地元の都市部でレンタルオフィスを探せばたくさん見つかると思います。
その中で、実際に利用する上で価値を感じるバーチャルオフィスの条件は、私の場合は3つ。
- 店舗数が多くて自宅から近いところで住所を借りられる
- ビジネス上の打合せをするための会議室・レンタルスペースがある
- 月額費用がなるべく安くて、サービスも充実している
これらの条件を満たすバーチャルオフィスとして、私がおススメするのは日本最大級のバーチャルオフィスを展開しているKarigoです。
幾つかサービスプランがありますが、ネットショップを運用する個人の方なら月額3,150円で最もリーズナブルな『ホワイトプラン』でも十分。
固定電話番号が付きませんが、事業専用の携帯電話を持てばプライバシーを保つことができます。
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まとめ:『特定商取引に基づく表記』に対応しよう
この記事では、ネットショップの運用に必要な部分に限って『特定商取引法』の知識を解説するとともに、私のように店舗を持たずに自宅でネットショップを運用したい人の対応方法をご紹介してきました。
ネットショップで商品を販売する場合、個人で販売する場合であっても『特定商取引法に基づく表記』は必要です。
表記がなければ、行政処分や罰則の対象となってしまうだけでなく、お客様からの安心・信用にも問題が生じてしまいます。
表記内容は、ハンドメイドマーケットや、個人のネットショップを作成できるプラットフォームを活用すればフォーム形式で入力することができます。
だから、わざわざ法律を確認しながらネットショップを作成する必要はありませんが、その中の『氏名』『住所』『電話番号』もきちんと記入しなければなりません。
ビジネスをする以上は『氏名』を公開するのは覚悟しなければいけませんが、店舗を持たない個人でネットショップを運用するひとは自宅の『住所』まで公開しなければならず、自分自身や家族の安心・安全を妨げる原因にもなりかねないので心配です。
そんな方は、バーチャルオフィスで住所を借りて事業活動を行うことで対処することができます。
バーチャルオフィスの利用は、特定商取引法の平成28年改正でも認められているので安心です。
『電話番号』に関しては、バーチャルオフィスで固定電話を借りても、ビジネス用に携帯電話を契約しても対応できます。
現在はこれらの対処方法があるので、ネットショップを開設するときには『特定商取引に基づく表記』を必ず公開しましょう。